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​スチルストーリー
アドリア=二アニス[制服]
放課後を告げるチャイムが鳴る。静かだった学園内はだんだんと賑やかになり、周囲に集まってきたクラスメイト達に軽く挨拶をしながら街へ出た。今日は3人予約が入っている。同じクラスの彼女、中等部の彼、数か月前に街で声を掛けてきた彼女。まずは、同じクラスの彼女だ。
「アドリアくん!」
カフェで待っていれば、学園の時よりも少しおしゃれをした彼女がこちらに手を振りながら向かってくるのが見える。それに軽く手を振り返すと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「いつもとは雰囲気が違うね、とっても可愛いよ」
全身をゆっくり眺め、まばたきをひとつ、そして目を薄め愛おしそうな声で、普段から彼女を認識しているアピールも忘れずに。
「あっ、ありがとう…アドリアくんと放課後会えるのずっと待ってたから、がんばっちゃった」​
だって数か月先まで予約いっぱいなんだもん、と不満げに彼女は言う。こういう時は少し眉を下げ、顔を覗き込むようにして、小さくごめんと謝ればいい。彼女の手を取りあらかじめ予約しておいた席に着き、それぞれ好きなものを注文すればものの数分で運ばれてくる。
「ここのタルトとても美味しいね、さすが君のチョイスだ」
タルトを一口頬張り、美味しそうに数回頷き、流し目で彼女を見る。気に入ってもらえて良かった、と返す彼女に少し体を寄せ、君のタルトも一口味見したいな、と呟く。
「え、食べかけだけど、大丈夫…?」
遠慮がちな態度とは裏腹に、彼女の頬は紅潮している。本当に人ってわかりやすくて簡単だ。
「君が嫌じゃなければ、ね?ほら、交換」
自分のタルトを切り分け彼女の口元に持っていく。首を少し傾げ、なんとも思ってないですよ~って顔をすれば、彼女は期待で瞳を瞬かせた。ほらね。
「今日はありがとう、また来ようね」
中身のない雑談をし、名残惜しそうな彼女に手を振り別れた。今日はあと2人、次の彼は面倒見の良いお兄ちゃんとして俺を好んでたっけ。右耳のピアスに指を滑らせ、小さくため息をつく。早くひとりになりたいな。
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